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動物性乳酸菌の優れている点

動物性乳酸菌も優れた善玉菌

牛乳などの動物の乳に生息する動物性乳酸菌は、野菜や穀物を発酵させた漬物や味噌、醤油に生息する植物性乳酸菌とよく比較されます。
動物性乳酸菌は、栄養が豊富で他の微生物が居ない場所に生息しているため、植物性乳酸菌と比べて生命力が弱いと言われています。
確かに多くの動物性乳酸菌は酸に弱い性質があり、胃酸や胆汁酸によってその多くが死滅してしまいます。だからといって動物性乳酸菌が劣っているのかというとそうではありません。
どちらも人間にとって有用な善玉菌であることには変わりはなく、優れた整腸作用が期待できる点は共通しています。

栄養価の高い乳製品から摂ることができる

動物性乳酸菌は身近なところでは牛乳に生息しています。しかし、一般的な牛乳は製造段階で加熱処理し殺菌しているため乳酸菌が死滅しています。
低温殺菌された牛乳には乳酸菌が含まれていますが発酵させていないため、ほんの少しの乳酸菌しか摂ることができません。
動物性乳酸菌を手軽に摂ることができる食品と言えばヨーグルトやチーズといった乳製品です。日本人にもすっかり身近になったこれらの食品はいまやどのスーパーやコンビニでも買うことができます。
乳製品には乳酸菌以外にも良質なたんぱく質と脂質、豊富なビタミンやカルシウムなどが含まれていて栄養価が高いのも魅力です。調理しなくてもそのまま摂ることができ、塩分や糖分が多く含まれていないのもメリットです。
加えてヨーグルトはさっぱりとした風味とさわやかな酸味があり、子どもから大人まで食べやすく、気軽に毎日の食事に取り入れることができます。ヨーグルトなどの乳製品から動物性乳酸菌を積極的に摂って健康に繋げましょう。

ヒト由来の動物性乳酸菌は相性が良いので腸内に定着しやすい

相性の良い乳酸菌は人によって異なる

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私たちの腸内には500種類以上、数にして100兆~1000兆個もの腸内細菌が生息していて、それぞれ種類ごとにまとまり腸内フローラを形成しています。
健康な人間の腸であればそのうち2割が善玉菌で、その大半は大腸に生息するビフィズス菌です。乳酸菌は主に小腸に生息しています。
私たちが持つ腸内フローラは出産のときに母親から受け継いだもので、母乳を飲むことで腸内のビフィズス菌が増殖していきます。人それぞれ生息している腸内細菌が異なり、同じ腸内フローラを持つ人はいないと言われています。
つまり人によって腸内フローラは千差万別であり、体に良いからといって食品から摂った乳酸菌やビフィズス菌が必ずしも自分の腸内環境に合っているとは限らないのです。
ヨーグルトなどからせっかく乳酸菌を摂ったのに、「腸の調子が良くない」「効果が実感できない」と感じた方は乳酸菌が自分の腸と合っていないということになります。

ヒト由来の動物性乳酸菌は相性の良い人が多い

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乳酸菌は食品にだけ生息しているわけではありません。人間や動物の体内にもたくさんの乳酸菌が生息しています。人間も動物ですから私たちの腸内に生息している乳酸菌は動物性乳酸菌です。
ヒト由来の動物性乳酸菌は、人間の腸内、口内、母乳にもともと住んでいた菌を糞便や母乳から分離したものです。その中でも人の腸内に生息していた乳酸菌は、他の動物性乳酸菌や植物性乳酸菌よりも人間の腸内環境に適合する可能性が高いとされています。
ヒト由来の動物性乳酸菌としては、BB536株、GCL2505株、ビフィズス菌SP株(SBT2928株)、ガセリ菌SP株(SBT2055株)、L-55株などがあります。
またこれらのヒト由来の動物性乳酸菌は他の動物性乳酸菌よりも消化液に対する耐性があり、胃酸に強く生きて腸に届きやすい傾向があります。乳酸菌選びの際は、その乳酸菌が植物や動物由来であるのか、動物由来であれば、さらにヒト由来であるのか注目してみてください。

死滅した動物性乳酸菌は他の善玉菌のエサとなる

動物性乳酸菌は腸に届く前に死滅してしまう

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巷では「乳酸菌を生きて腸まで届ける」ことを謳っている食品をよく目にします。動物性乳酸菌は酸に弱い性質があるため、ヨーグルトなどに含まれる生きた乳酸菌を摂ってもその多くは胃酸や胆汁酸で死滅してしまいます。
もちろん全てが死滅してしまうわけではありませんが、生きて腸まで届く菌の数は少数に留まります。だからといって酸に弱い乳酸菌に整腸作用が期待できないわけではありません。

乳酸菌は生きて届いても腸内に定着できない

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そもそも乳酸菌やビフィズス菌が生きて腸に届いたとしても、もともと生息している常在菌に勝つことができないため、多くは数日程度で排出されてしまいます。
「腸内に長く留まる」ことを謳っている乳酸菌であっても最長で90日程度であり、腸内で活動できる期間は限られています。ヨーグルトなどから生きた乳酸菌を摂ってもそれ自体が腸内で増殖するわけではないのです。
ですから専門家の間でも「生きた乳酸菌を摂ることが重要である」という意見もあれば、「乳酸菌が生きているか死んでいるかは重要ではない」という意見もあり、見解が分かれています。

死滅した乳酸菌にも整腸作用等がある

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近年の研究では乳酸菌の生死に関係なく、菌が腸に届くことで一定の整腸作用や免疫力を高める作用があることが分かっています。
腸内に生息する善玉菌が活動するためにはエネルギーが必要です。善玉菌のエサとしては食物繊維とオリゴ糖がよく知られていますが、実は死滅した乳酸菌もエサとなり善玉菌を活性化することが分かっています。

死滅した乳酸菌を採用するメーカーも増えている

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また近年ではこのような死滅した乳酸菌=死菌の働きを期待して、サプリメントや加工食品を中心に製造段階で加熱殺菌処理した死菌を採用するメーカーが増えてきました。
乳酸菌は死菌にすることで高密度に圧縮することができます。ヨーグルトに含まれている乳酸菌は100gあたり10億~100億個程度ですが、死菌の場合は1g以下の錠剤やカプセルの中に数百億個もの乳酸菌を配合することができます。ですから一度に大量の菌を摂取できるというメリットがあります。

小腸だけでなく大腸も活性化できる

小腸で活動する乳酸菌と大腸で活動するビフィズス菌

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乳酸菌は大きく分けて乳酸桿菌、乳酸球菌、ビフィズス菌の三つがあり、このうちビフィズス菌は全て動物性乳酸菌に分類されます。
乳酸桿菌と乳酸球菌は通性嫌気性菌であり酸素があってもなくても生きることができますが、比較的酸素の少ない場所を好みます。そのため腸の中でも口から近い小腸で活動します。
一方、ビフィズス菌は酸素のない環境で生きる偏性嫌気性菌であり、口から遠く酸素がほとんど届かない大腸で活動します。

腸の健康を保つためには小腸と大腸どちらも活性化する必要がある

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小腸は胃から送られてきた食べ物から栄養素を取り出して、酵素で分解して体内に吸収する器官です。大腸には必要な栄養素を取り出した後に残った老廃物と水分が送られて、便が形成されます。
消化吸収を促すためには小腸を活性化する必要がありますが、便通を整えるためには大腸を活性化する必要があります。動物性乳酸菌であるビフィズス菌によって大腸が活性化されることで、食べ物を動かしながら排出していくぜん動運動が促されます。
それによってお通じの乱れや便秘を防ぐことができます。もちろん善玉菌の増殖を促して悪玉菌を抑制する整腸作用も期待できます。
つまり、腸の健康を保つためには小腸と大腸どちらも活性化する必要があるということです。小腸で働く乳酸菌だけではなく、ビフィズス菌も積極的に摂って大腸の健康を保ちましょう。

生きて大腸に届くビフィズス菌もある

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動物性乳酸菌であるビフィズス菌の多くは酸に弱い性質を持ちますが、強化培養などによって消化液に対して耐性を持つ菌株も発見されています。他の動物性乳酸菌と比べて酸に強く、生きて腸まで届けることができるビフィズス菌としては、Bb-12株、BB536株、BE80株などがあります。

食品の品質を一定に保つことができる

動物性乳酸菌は35~40℃で活発に活動する

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植物性乳酸菌が常温でも発酵するのに対して動物性乳酸菌は35~40度で活発になる性質があるため、発酵させるためには一定の温度に保つ必要があります。
植物性乳酸菌で発酵させた漬物が家庭でも広く作られていたのに対して、ヨーグルトを手作りする家庭が少ないのは温度管理が難しいのが理由です。
もちろんヨーグルトや乳酸菌飲料を製造するメーカーであれば、工場で機械を使って細かな温度管理ができるため温度の問題は障害になりません。むしろ低い温度で発酵しないため品質管理がしやすいという大きなメリットがあります。

常温でも発酵する植物性乳酸菌は品質管理が難しい

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植物性乳酸菌は常温に置くと発酵が進んでしまい、時間が経つと酸味が増してすっぱくなってしまいます。10℃以下の低温でもゆっくりと発酵が進むため、冷蔵庫に保存しても発酵を完全に止めることができません。
人それぞれ好みがあり酸味が強いのが好きな方もいますが、多くの方は酸味が増した発酵食品を「すっぱすぎる」と感じて敬遠する傾向にあります。

酸味が増しても発酵すればするほど乳酸菌が増えるから良いのでは? と思いがちですが、乳酸菌は発酵のピークを過ぎると減少に向かいます。
発酵食品は発酵のピークが過ぎて過発酵になると味が変わるだけでなく、自ら作り出した有機酸によって乳酸菌が死滅してしまいます。このため1年以上漬け込んだ食品にはほとんど乳酸菌が生息していないと言われています。

植物性乳酸菌を種菌にしてヨーグルトや乳酸菌飲料を作っても短い期間で味が変わるため、商品を出荷して店頭に陳列している間に発酵が進んで酸味が強くなってしまいます。さらに時間が経つと菌が減少して本来の健康効果が期待できなくなる恐れがあります。

このようなことから植物性乳酸菌で発酵させた食品は品質管理が難しく、その高い健康効果が注目されているにも関わらず、動物性乳酸菌に比べて普及が遅れている理由となっています。

発酵を止めることができる動物性乳酸菌は品質を安定させられる

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乳酸菌はただ増殖させれば良いというわけではなく発酵を上手にコントロールする必要があります。動物性乳酸菌は発酵を止めることができるため、冷蔵庫で保存している限りは時間が経っても出来立てと味が変わらず、菌の減少を抑えることができます。
製造年月日を気にして慌てて食べなくてもしっかりと乳酸菌を摂ることができるので安心です。

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