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乳酸菌フェカリス菌って

フェカリス菌とは

特徴

正式名称はエンテロコッカス・フェカリス菌、丸い形をしていて乳酸球菌の仲間です。フェカリス菌最大の特徴は他の乳酸菌と比べてとても小さいこと、500nm(ナノメートル)= 0.0000005mという小さな超微粒子です。
そのため一度に大量の菌を摂ることができるのがメリットです。乳酸菌は小さくても効果が落ちることはありませんから、たくさん摂れば摂るほど効果が期待できます。通性嫌気性菌で酸素があってもなくても活動することができる細菌です。

死菌のほうが効果が高い「新型乳酸菌」

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乳酸菌はこれまで生きて腸まで届けることで効果が得られると考えられてきました。しかし、近年の研究では死んだ乳酸菌であっても、整腸作用など健康に良い効果が得られることが分かっています。
フェカリス菌はこれまでの「生菌のほうが効果が高い」という常識を覆し、加熱殺菌した死菌であっても腸まで届いて効果が得られることが認められています。

さらにフェカリス菌独特の特徴として、生きた状態で摂るよりも死滅させた状態で摂ったほうが効果がある乳酸菌であり、このことから「新型乳酸菌」と呼ばれています。

生きた乳酸菌が腸内に届いたとしても、もとから住んでいた腸内細菌によって排除されてしまうため長く留まることはできず、乳酸菌自体が腸内で増殖するのは困難です。
しかし、死菌であっても乳酸菌の菌体成分が腸管免疫系に働きかけることで、善玉菌の増殖を促し、腸内環境を改善することができます。

加熱殺菌することで品質が安定し常温で保存でき、高密度に圧縮できるため、フェカリス菌はさまざまな食品やサプリメントなどに幅広く利用されています。

フェカリス菌の歴史

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フェカリス菌は1906年にイギリスの科学者F. アンドリュウスとT. ホルダーによって発見されました。フェカリス菌はもともとヒトや動物の腸内に常在している菌として知られていて、糞便から多く見つかることから糞便汚染の指標として使われ、腎孟腎炎という病気の原因菌の一つとされていました。

その後、健康なヒトの腸から分離された菌は生きて腸まで届くプロバイオティクスの乳酸菌として利用されるようになります。日本でも健康なヒトの腸内から多数発見されていて、その中で最有用な菌株を選び出し健康維持に役立てようという研究が進められてきました。
当初は同じ乳酸球菌でもストレプトコッカス属に分類されていましたが、1984年にエンテロコッカス属に再分類されています。

1986年にヒトの腸からFK-23株が発見されると、加熱殺菌することでどのような効果が得られるのか研究が行われ、近年では加熱殺菌した死菌から有用な効果を得るバイオジェニックスとして利用されています。

フェカリス菌の効果

高い整腸作用

フェカリス菌は加熱殺菌された死菌であっても腸内で善玉菌のエサとなることで増殖を助け、悪玉菌を抑制する効果があり、高い整腸作用が期待できます。

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20~39歳の便秘気味の男女24名を対象に行った試験では、フェカリス菌1000億個を含む乳性飲料またはフェカリス菌1兆個を含む乳性飲料、フェカリス菌やオリゴ糖を含まない飲料を摂る3つのグループに分けて、1日280mlを2週間摂ってもらいました。また飲料を摂る前後には腸内フローラの検査と排便評価なども行いました。
その結果、フェカリス菌を摂った2つのグループでは、ビフィズス菌の割合が摂取前と比較して摂取2週間後に増加しました。またフェカリス菌1兆個を含む乳性飲料を摂ったグループのほうが増加が大きいことも分かりました。

さらにフェカリス菌を含む乳性飲料を摂ったグループでは便性も改善されることが分かりました。

このことからフェカリス菌を摂ることで腸内環境が改善され、摂る乳酸菌数が多いほどに腸内でビフィズス菌が増殖する効果が大きいことが確認されました。

免疫力を高める

加熱殺菌されたフェカリス菌には免疫力を高める効果があることが分かっています。腸には体全体の免疫細胞の約7割が集中していて、ウイルスや細菌などの病原菌から身を守り感染症を予防する大切な役割を果たしています。
腸内環境を整えることで免疫機能を強化することができますが、フェカリス菌は死菌のほうがより高い効果が得ることができます。その中でもFK-2001株は、乳酸菌の中でも特に免疫機能を活性化させる強い効果があることが報告されています。

花粉症の症状を改善

花粉症などのアレルギー症状は異物を攻撃する「1gE抗体」の過剰分泌によって引き起こされます。このIgE抗体は免疫細胞であるT細胞がB細胞に働きかけて作らせています。
T細胞にはTh1とTh2があり、Th1は細胞免疫を担当しTh2はIgE抗体を中心とした免疫系を担っています。またTh1にはTh2を抑制する働きがあるため、両方のバランスを保つことでIgE抗体の分泌を抑えることができます。
一度に大量の菌を摂取できるフェカリス菌は腸内の免疫細胞を活性化させるだけでなく、Th1とTh2のバランスを整える作用があり、花粉症の症状を緩和する効果があることが分かっています。
スギ花粉症患者20名を対象に、フェカリス菌1000億個を含む乳性飲料を1日200mlを2ヶ月間継続的に摂ってもらいました。
試験では天候や季節などに影響されずに効果を調べるために花粉曝露試験施設を使用しました。飲用開始前、飲用後、試験後5日間には花粉曝露を行い、スギ花粉に対する自覚症状を鼻かみ回数、鼻づまり、日常生活の支障度、眼のかゆみ、流涙、眠気などの項目で評価しました。
その結果、曝露室内では鼻かみ回数、眼のかゆみで飲用前と比較して大きく改善することが認められ、鼻づまり、流涙でも改善する傾向が認められました。

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さらに曝露5日間の症状は、日常生活の支障度、眼のかゆみ、流涙、眠気で飲用前と比べて大きな改善効果が認められ、くしゃみ回数、鼻づまりでも改善傾向が認められました。

これらの結果からフェカリス菌を含む乳性飲料を毎日飲むことで、花粉症の症状が緩和し飲用を止めても数日間効果が続くことが分かりました。

通年性アレルギー性鼻炎の症状を改善

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フェカリス菌は花粉症だけでなく、通年性アレルギー性鼻炎の症状を改善する効果があることも確認されています。
通年性アレルギー性鼻炎患者40名を対象に行った試験では、2つのグループに分けて一方のグループにはフェカリス菌1000億個を含む飲料を1日1回8週間摂ってもらい、飲用開始前、飲用開始の4週目、8週目に一般臨床検査とアレルギー検査を行いました。症状についての評価は、医師の所見と問診、被験者の自覚症状で評価しました。

その結果、フェカリス菌を摂ったグループでは、飲用前後でくしゃみ、鼻水などの症状が改善する傾向が認められました。
より精密な診断方法である「鼻汁中好酸球陽性者」を対象に同様の試験を行ったところ、日常生活への支障度に関するアンケートでは8週目に支障が少ないことが確認されました。
これらの結果からフェカリス菌を含む乳性飲料を毎日飲むことで、通年性アレルギー性鼻炎症状を改善する可能性があることが分かりました。

インフルエンザの予防と症状の緩和

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フェカリス菌にはインフルエンザの予防と症状の緩和効果があることが報告されています。これは2010年に「日本乳酸菌学会」で発表された北海道大学とニチニチ製薬の共同研究です。
フェカリス菌の可溶性成分を投与したマウスは投与しなかったマウスと比べて、インフルエンザ感染後の生存率に大きな差が認められたというものです。

研究結果ではフェカリス菌を投与しなかったマウスは、インフルエンザウイルス感染後14日時点での生存率は40%でしたが、フェカリス菌をウイルスの感染前に投与したマウスの生存率は80%、感染後に投与したマウスの生存率は60%、感染前と感染後の2回投与したマウスは生存率100%でした。

この結果から、インフルエンザに感染したときに免疫力を高めてインフルエンザの症状を抑える効果と、インフルエンザの感染を予防する効果両方があることが分かりました。

フェカリス菌の種類

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・EC-12株
ヒトの腸管から発見され1997年に研究開発が始まった比較的新しい菌株です。その特徴は1gに5兆個もの菌が含まれている密度の高さです。生菌としては使われず加熱殺菌処理したバイオジェニックスの乳酸菌として活用されています。
高い整腸作用があり腸内のビフィズス菌を増やす作用が認められています。

健康な成人8名を対象に行った試験では、EC-12株1兆個を含む食品を200mg、2週間摂ってもらいました。その結果、腸内のビフィズス菌が約2.3倍に増加し、排便量が増えることが確認されました。また悪玉菌であるウェルシュ菌は大きく減少しました。

EC-12株は免疫細胞に働きかけることで免疫機能を活性化する効果が高いです。免疫細胞であるNK(ナチュラルキラー)細胞、T細胞を活性化させてウイルスに対する抵抗力を高めるインターロイキン-12の産生が他の乳酸菌よりも多く、死菌は生菌の約3倍多く産生することが認められています。
アレルギー症状を緩和する効果も確認されていて、アトピー性皮膚炎患者8名、花粉症患者8名を対象に行った試験では、どちらも1gE抗体の量が低下し、症状が改善する可能性があることが認められました。

・FK-23株
1986年にヒトの腸から分離された菌株です。日本で最初にフェカリス菌の加熱殺菌処理を用いた研究はこのFK-23株で行われ、その結果として免疫調整作用に関する多くの特許を取得しています。
EC-12株と同じく生菌としては使われず、加熱殺菌処理したバイオジェニックスの乳酸菌として活用されています。

加熱処理したFK-23株は腸内で善玉菌のエサとなることで高い整腸作用が期待できるほか、体内に侵入した細菌やウイルスを捕らえる作用を持つマクロファージを活性化させることで、免疫機能を向上させる強い効果があり、抗がん作用、抗がん剤の副作用軽減効果、C型肝炎改善効果、感染症の予防効果などが確認されています。
また生菌よりも加熱殺菌した死菌のほうが効果が高いことも分かっています。

・EF-2001株
日本ベルム・BRM研究所が開発した菌株で、1gに7.5兆個もの膨大な数の菌を含んでいて、少量で大量の菌を摂ることを可能にしています。
2001年8月に国際微生物学会で「各種乳酸菌の免疫活性能比較」で最も効果が高い乳酸菌であることが発表されました。

具体的にはマクロファージによって産生される「TNF-α」という物質を活性化させる数値が他の乳酸菌と比べて最も高く、この数値が高いほど免疫力を向上させる効果が優れていることを示すため、EF-2001株には高い免疫活性化効果が期待できます。
加熱安定化することで他の乳酸菌にはないような特性が生まれることから、生菌としては使われずに加熱殺菌処理したバイオジェニックスの乳酸菌として活用されています。

また、EF-2001株は白血球に栄養を提供するBRM食品であることから近年注目されています。BRMとは「免疫強化物質」とも呼ばれ、大根やキャベツなどの多くの食品に含まれていますが、これらの食品に含まれるBRMは加熱してもほとんど破壊されず効果も変わりません。乳酸菌の場合は生菌でも死菌でも効果は変わりませんが、加熱殺菌処理することで品質が安定し保存性も高まり、生菌よりも多くの菌数を摂ることができるためBRM効果を求める場合に適しています。

・129 BIO 3B株
多くのフェカリス菌は加熱殺菌処理していますが、この菌株は生きて腸まで届くプロバイオティクスの乳酸菌として利用されています。
129 BIO 3B株は主に小腸に定着して増殖しやすいことから、腸内環境を善玉菌に適した弱酸性に変える効果が期待でき、高い整腸作用があるとされています。またビフィズス菌やアシドフィルス菌といった他の乳酸菌の活動をサポートしてくれます。

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