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乳酸菌サーモフィラス菌の特徴

サーモフィラス菌とは

特徴

サーモフィラス菌はストレプトコッカス属の乳酸菌で、ブルガリア菌と同じくブルガリアヨーグルトから発見されました。
形は連鎖状の球形をしていて、酸素があってもなくても生きることができる通性嫌気性菌であることから培養に適した乳酸菌です。
動物性乳酸菌であるサーモフィラス菌は酸に弱い特性を持ち、その多くは胃酸や胆汁で死滅してしまうため、生きて腸まで届くことが難しい乳酸菌です。

ほとんどのヨーグルトに種菌として使われている

牛乳に含まれる乳糖を分解して多量の乳酸を作り出すことから、ヨーグルトやチーズの種菌として古くから使われてきました。
ブルガリア菌との相性が良く、サーモフィラス菌の増殖を促すアミノ酸やペプチドをブルガリア菌が作り、サーモフィラス菌はギ酸を作ることでブルガリア菌の増殖を助けます。
ヨーグルトの発酵には欠かせない乳酸菌であり、国際規格ではサーモフィラス菌とブルガリア菌を種菌と定めています。
ブルガリア菌がさわやかな風味をもたらすのに対して、サーモフィラス菌は適度な固さのなめらかな食感をもたらします。
日本ではヨーグルトの種菌に特に規定はありませんが、明治乳業が保有するLB81乳酸菌など、ほとんどのヨーグルトでこの二つの乳酸菌を組み合わせて使っています。

サーモフィラス菌の歴史

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サーモフィラス菌が発見されるきっかけを作ったのは、ブルガリアヨーグルトの健康効果を明らかにしたロシアの生物学者イリヤ・メチニコフです。
メチニコフはブルガリア地方に長寿の人が多いことに着目し、その理由は古くから地元で食べられてきたブルガリアヨーグルトに違いないと考えました。
1901年、ヨーグルトに含まれている乳酸菌が健康に良い効果をもたらすことを「ヨーグルト不老長寿説」で発表します。

その後、1905年にブルガリア生まれの医学部生スタメン・グリゴロフによって、伝統的なブルガリアヨーグルトからブルガリア菌を含む3種類の菌が発見されます。
グリゴロフはそのうちのひとつをStoreptobacilleC(連鎖桿菌)と呼び、ブルガリアヨーグルトの発酵を促し、さわやかな酸味と風味を作り出すと結論づけました。

1919年、乳酸菌の分類体系を確立したデンマークの医学者であるオルラ・ヤンセンは、低温加熱殺菌乳の発酵を促す連鎖状の球菌を発見します。
この菌は、60℃30分の加熱殺菌でも死滅せず、45℃が増殖に適していることから、熱を好む意味のサーモフィラス菌と命名されました。

サーモフィラス菌の効果

腸内環境を整える

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多くの乳酸菌と同じようにサーモフィラス菌は腸内で乳酸を作り出すことで腸内環境を弱酸性に変えて、善玉菌の増殖を促し悪玉菌を抑制します。
サーモフィラス菌1131株を含むLB81乳酸菌は、悪玉菌を減らし善玉菌を増やすことで、腸内フローラを改善し、腐敗物質を減らすことが認められています。
明治乳業と日本獣医畜産大学食品衛生学教室が共同で行った試験では、LB81乳酸菌入りのヨーグルトを38歳~59歳の男性8人に2週間摂ってもらい、食べた時間と量、体調、便の性質を記録してもらいました。
その結果、8名全員がLB81乳酸菌入りヨーグルトを食べている期間中の便性、お通じの回数、体調が良好と答えました。
さらに腸内フローラの変化も認められ、悪玉菌は減少したのに対して、もともと腸内にビフィズス菌が少ない対象者はビフィズス菌が増加しました。
また8名中7名はアンモニア、p-クレゾールなどの悪玉菌が作り出す腸内の腐敗物質の量も減少傾向にあることが認められました。

便秘を改善する

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サーモフィラス菌1131株を含むLB81乳酸菌には便秘を改善する効果が認められています。明治乳業と昭和女子大学生活科学科が共同で行った試験では、LB81乳酸菌を含むヨーグルトを、慢性的な便秘が多い18歳~21歳の女子学生106名に6週間摂ってもらいました。
その結果、お通じの回数と便の量が増加し形状も適正化されることが認められ、便秘の改善効果があることが分かりました。

腸管バリアの機能を高める

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明治乳業とパスツール研究所が共同で行った研究では、サーモフィラス菌1131株を含むLB81乳酸菌には腸のバリア機能を高める作用があることが確認されています。
私たちの腸はウイルスや細菌などの外的からの攻撃を防ぐ腸管バリアという層を持っていますが、現代人の腸は加齢による機能低下や、食生活の乱れ、疲労や不規則な生活によるストレスによって、腸の機能が低下して、バリア機能を支える成分も減り、腸管バリアの働きが弱まると言われています。
マウスを使った試験では、LB81乳酸菌入りヨーグルトを与えることで、「抗菌ペプチド」という成分が増えて腸管バリア機能が高まることが分かりました。
LB81乳酸菌がストレスや加齢によってダメージを受けた腸上皮細胞に働きかけることで、バリア機能を維持する抗菌ペプチドの発現が促され、腸の機能維持に繋がると期待されています。

免疫力を高める

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私たちが持つ免疫細胞はその7割が小腸に集中しています。腸内環境を整えることは免疫力の向上にも繋がります。
さらにサーモフィラス菌1131株を含むLB81乳酸菌には、腸内の免疫細胞に働きかける作用が認められ、免疫力を向上させることで風邪やインフルエンザを予防する効果が期待されています。

美肌効果

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サーモフィラス菌によって腸内環境か整えられることで美肌にも繋がります。乱れた食生活やストレスは腸内環境の悪化に繋がりますが、このときに悪玉菌が食べ物を腐敗させてアンモニアや硫化水素といった毒素を作り出します。この毒素は腸壁で吸収されて血管を通り肌まで到達し、肌の新陳代謝を停滞させ、ニキビや吹き出物などの肌荒れを引き起こします。サーモフィラス菌によって腸内環境が整えられると、毒素も少しずつ排出されていき肌荒れが改善します。

明治乳業と東京女子医大などが共同で行った試験では、サーモフィラス菌1131株を含むLB81乳酸菌を摂ることで、皮膚機能が改善されることが確認されています。
試験では慢性的に便秘の症状を持つ乾燥肌の20歳~39歳の女性28名に、LB81乳酸菌入りのヨーグルトを毎日4週間摂ってもらい、アンケートに記入してもらいました。
その結果、ヨーグルトを摂ることで肌の乾燥や弾力性が改善され、さらに便秘も改善することが認められました。ヨーグルトによって腸内環境が整えられると、皮膚機能の改善にも繋がると推定されています。

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