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乳酸菌とヒアルロン酸の関係性は

ヒアルロン酸とは

ヒアルロン酸は肌の保湿性を保ち、膝関節に良い成分として知られています。巷ではヒアルロン酸を配合したサプリメントや健康食品、化粧品をよく見かけるため、効果について耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
とはいえ具体的にどのような成分なのかはあまり知られていません。

保水力が強い

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ヒアルロン酸はアメリカのコロンビア大学教授カール・マイヤー博士らによって、1934年に牛の眼球内の硝子体から分離されました。
ヒアルロン酸はN-アセチルグルコサミンとグルクロン酸という二つの糖が交互に結合してできた、ムコ多糖類に分類されるネバネバ成分です。
このムコ多糖の中でもヒアルロン酸は特に保水力に優れていて、ヒアルロン酸の重量に対して最大で約6000倍もの水分を保水することが可能であると言われています。これは1gのヒアルロン酸に対して6Lの水分を保水できるということです。
このような特性を持つことから保湿効果を得るためにスキンケア化粧品に、膝関節の機能を改善する目的で医薬品やサプリメントに使われています。さらに近年では食品にも利用されています。

私たちの体の様々な場所に存在している

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ヒアルロン酸は目、皮膚、関節など体内のさまざまな場所に豊富に存在しています。無色透明で臭いはなく強い粘り気と弾性を持ち、細胞同士や組織同士をくっつけるように存在しています。
これまでの研究では私たちの体のさまざまな箇所に有効に働いて、皮膚や関節、目などの正常な機能を維持するために貢献していることが分かっています。

ヒアルロン酸の働き

ヒアルロン酸は細胞と細胞の間に存在しているため、肌の水分保持やクッションのような役目を担うことで体の各部位を保護しています。主に以下の働きが認められています。

・肌の水分保持機能を維持して乾燥から守る
・肌の弾力性の維持
・肌のシワやたるみなどの抑制
・膝などの関節軟骨の機能を維持して、動きを良くする
・眼精疲労や老眼の抑制

乳酸菌とヒアルロン酸の関係

加齢によって体内のヒアルロン酸は減少する

肌の水分保持機能と弾力性の維持に必要なヒアルロン酸は、表皮細胞と線維芽細胞で作られています。ヒアルロン酸の量は加齢による影響を受けて、40代後半から減少していくことが分かっています。70代では皮膚に含まれるヒアルロン酸の量が乳児の1/5まで減少していきます。

体内のヒアルロン酸が失われていくと、肌の水分保持機能を保つことができなくなり保湿力が低下して肌が乾燥し、弾力を失ってカサカサした肌へと変わってしまいます。
肌の潤いを保つためにはヒアルロン酸を補う必要があります。巷ではヒアルロン酸を配合したサプリメントや健康食品をたくさん見かけますが、科学的なデータが提示されていない商品が多く、ヒアルロン酸の経口摂取による効果についても疑問視する声があります。

ヒアルロン酸の産生を促す乳酸菌

そこで期待したいのが乳酸菌の効果です。腸内環境を整えてくれる乳酸菌は美肌効果も期待されています。一部の菌株では体内でヒアルロン酸の産生を促す効果も認められていて、乳酸菌を摂ることで体内でヒアルロン酸の加齢による減少を抑える働きが期待できます。
このような乳酸菌は「ヒアルロン酸産生乳酸菌」と呼ばれることもあり注目されています。

美容に対する効果が期待できることから美容サプリメントなどに使われています。とはいえヒアルロン酸産生乳酸菌を摂ったからといってすぐに体内のヒアルロン酸が増えるということではなく、継続的に摂取する必要があります。

乳酸菌とヒアルロン酸は相乗効果がある

乳酸菌とヒアルロン酸は相性の良い組み合わせです。乳酸菌とヒアルロン酸を含んだ食品やサプリメントを一緒に摂ることで相乗効果を得ることができます。

それは乳酸菌によって腸内の善玉菌が増殖して、悪玉菌が抑制されることで、ニキビや吹き出物といった肌荒れが改善されてターンオーバーが促されるためです。悪玉菌は腸内で食べ物を腐敗させてアンモニアや硫化水素といった毒素を作り出します。
この毒素が腸の粘膜に吸収されると血流に溶け込んで全身に行き渡り、その結果として肌の機能を低下させてしまいます。美容は外側からだけでなく体の内側からのケアも大切です。
腸内環境の悪化によって肌の機能が低下している状態では、いくら体内のヒアルロン酸を増やしても十分な効果は期待できません。肌の保湿力を高めるためにはまず腸内環境を改善する必要があります。

ヒアルロン酸を増やす効果が認められた乳酸菌の種類

2018年現在、乳酸菌が持つヒアルロン酸産生効果を調べる研究はまだまだ発展途上であり、信頼できる科学的データが少ないのが現状です。以下の二つの乳酸菌はヒアルロン酸の産生を促す効果が証明されています。

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・LK-16株
LK-16株の正式名称はロイコノストック・メセンテロイデス・LK-16株、植物性の乳酸球菌に分類されています。大手酒造メーカーである菊正宗酒造の生もと(生?)と製造場で発見分離された乳酸菌です。

酒造りにおいて最も伝統的な製法は江戸時代から続く生もと造りです。大変な手間暇を必要としますが昔ながらの自然の力で発酵させる技法として近年になり再評価されています。
この生もと造りでは酒蔵に住み着いていた天然の乳酸菌が原料に取り込まれます。乳酸菌はブドウ糖を分解して乳酸を作り出すことで原料のpHを下げて雑菌を抑制します。やがて野生酵母を死滅させて質の良い清酒酵母が育ちます。
LK-16株はこの生もとで育った乳酸菌の中から、より効果の高い菌株として選び出されました。このLK-16株を使って作られた米発酵液にはヒアルロン酸の産生を促す効果があることが分かっています。

【LK-16株を使った試験】
ヒアルロン酸は表皮細胞と線維芽細胞で作られます。そこでL-16株を使って人工的に培養した表皮角化細胞と線維芽細胞にLK-16株から作った米発酵液を加えて、どれくらいのヒアルロン酸が作られるのか調べました。
その結果、米発酵液を5%加えることでヒアルロン酸の量が約1.5倍に増加することが確認されました。
次に米発酵液が肌に与える効果を調べる試験を行いました。健康な20代女性8名を対象に、5%に薄めた米発酵液または水を1日2回4週間肌に塗ってもらい、角質の水分量と肌のキメを評価しました。
その結果、米発酵液を塗った部位では角質の水分量が増加し、肌のキメを整える効果も確認されました。

・HK L-137
正式名称はラクトバチルス・プランタラム・L-137株、これを加熱処理したものがHK L-137です。日本の鮒寿司に代表されるアジアで古来より食べられてきた保存食「なれずし」から発見された乳酸菌です。
HK L-137乳酸菌は製造段階で殺菌した死菌であるため、生きて腸まで届くことはありませんが、高い整腸作用や免疫力を高める作用が認められています。
さらに近年の研究では、HK L-137によって腸内の免疫細胞が活性化されることで、体内でヒアルロン酸を作る表皮細胞に働きかけ、それによってヒアルロン酸の産生を促すことができると考えられています。

【HK L-137を使った試験】
そこで表皮細胞にHK L-137を添加して、ヒアルロン酸の産生にどのような影響を与えるのか調べる試験を行いました。
まずマウスの皮膚から表皮細胞を採取して7日間培養しました。その後、培養液の中で分泌されるヒアルロン酸の濃度を調べました。その結果、HK L-137を添加することで表皮細胞がヒアルロン酸を作る量が上昇することが確認されました。
表皮細胞の中にはランゲルハンス細胞と呼ばれる樹状細胞があります。この樹上細胞は免疫反応を調整する役割を担っています。HK L-137がこの細胞に作用することで特定の因子が作られて、表皮細胞のヒアルロン酸産生を促している、または表皮細胞に直接作用していると考えられています。
さらにマウスにHK L-137を経口摂取させると、皮膚の乾燥が抑えられて水分量を保つ効果があることが確認されました。このことからHK L-137には免疫機能を活性化することで皮膚の機能を維持することが推定できます。

ヒアルロン酸を増やす乳酸菌と一緒に摂りたい成分

体内でヒアルロン酸の産生を促す乳酸菌ですが、コラーゲンやビタミンCやB2、コンドロイチンなどと一緒に摂るとより効果的です。

コラーゲンとヒアルロン酸は互いに支え合う関係

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ヒアルロン酸とコラーゲンはともに肌の水分保持機能を維持するために必要な成分であり、お互いに影響しあっています。加齢によって少しずつ減少していく点も共通しています。
コラーゲンが不足すると肌の水分を保持できなくなり、ヒアルロン酸を摂取したりスキンケア化粧品などでケアしても、水分を肌に留めておくことができずにすぐに失われてしまいます。
そうなると肌は乾燥によってカサカサした状態となり、潤いだけでなく弾力も失われていきます。逆にヒアルロン酸が不足するとコラーゲンの線維を支えるエラスチンが減少してしまいます。
それによってコラーゲンが変質して本来の機能を果たせなくなり、肌のハリや弾力が失われて、シワやたるみが目だってしまいます。肌の保水力を維持するためには乳酸菌やヒアルロン酸を摂るだけでなく、コラーゲンも一緒に摂るように心がけましょう。

その他のヒアルロン酸と相性が良い成分

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ほかにもビタミンCには肌の線維芽細胞を活性化する作用があり、ヒアルロン酸やコラーゲンの生成をサポートする働きがあります。ビタミンB2はヒアルロン酸が持つ保水力を高めてくれますし、コンドロイチンはヒアルロン酸以上に水分を長時間保つ働きが強いため、ヒアルロン酸と相性が特に良い成分です。

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