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乳酸菌でピロリ菌対策

ピロリ菌とは

ピロリ菌は正式名称ヘリコバクター・ピロリといい、ヘリコバクターは「螺旋状の細菌」を意味し、胃の出口付近のピロルスから見つかることから命名されました。
大きさは2.5~5μm程度で、胃の粘膜が出す粘液に含まれる主成分の糖タンパク質やムチンをエサに、酸素が少ない環境でも生きられる性質を持っています。
ピロリ菌は日本人の4人に1人が保有する細菌です。普通の細菌は体内に侵入しても胃酸で死滅してしまいますが、ピロリ菌はアンモニアのバリアで守られているため、胃の粘膜に住み着きます。
感染者の胃の粘膜には、多いときで1ml中に10の7乗から8乗という大量のピロリ菌が生息しており、胃炎などの症状を引き起こします。

ピロリ菌が引き起こす病気

ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの原因となる大変恐ろしい細菌です。特に胃がんは日本人のがん死亡率で男性は2位で女性は3位、罹患率は男性が1位で女性が3位と常に上位に位置しています。
日本人の胃がん患者が多い理由として、生活習慣も影響していますが、ピロリ菌が密接に関係していることが近年の研究で分かってきました。
ほかにも胃潰瘍は70~80%、十二指腸潰瘍は90~100%がピロリ菌によって発症することが分かっています。

ピロリ菌の除去と副作用

このような病気の発症を防ぐために、ピロリ菌に感染した人は病院で検査を受けて、薬による除菌治療を行うのが一般的です。
ピロリ菌の除去には2種類の抗生物質と胃酸分泌抑制薬の3剤を使い、一次除菌と二次除菌の二度の治療を行います。
しかし、近年では薬に耐性のあるピロリ菌が増えているため、2000年には一次除菌で90%程度だった除菌率が、70%程度まで下がっているのが現状です。
一次除菌でピロリ菌を除去できなかった場合はより強い抗菌薬を使った二次除菌を行いますが、それでも確実に除去できるわけではないうえに、除去後に再感染することも少なくありません。
また抗生物質を投与するため副作用に悩まされる人が多く、約3割の人が体調不良や下痢などの症状があったという報告もあります。

ピロリ菌の除去が期待されるヨーグルト

このように薬に耐性を持つピロリ菌の増加によって除去率が低下していることから、近年では身近な食品によるピロリ菌除去の研究が進められてきました。中でもヨーグルトに含まれる乳酸菌にはピロリ菌除去効果があると期待されています。

東海大学医学部の高木教授の研究グループは、一次除菌の際にLG21乳酸菌を含むヨーグルトをあわせて摂らせたところ、抗菌薬のひとつクラリスロマイシンに耐性を持つピロリ菌の除菌率が飛躍的に上がるという研究結果を、2009年に米国消化器学病週間(DDW)で発表しました。
薬による治療でよく見られる副作用の下痢も、ヨーグルトが腸内環境を整えてくれるため抑えられるとされています。

ピロリ菌対策に有効なLG21乳酸菌

乳酸菌は種類がたくさんありそれぞれに異なる特徴を持っています。どの乳酸菌でもピロリ菌対策ができるわけではなく乳酸菌選びが大切です。

胃の粘膜に付着しやすい特性がある

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特にピロリ菌除去に効果があると認められているのがOLL2716株、一般にはLG21と呼ばれている乳酸菌です。OLL2716株は酸に強く胃酸で死滅することがないうえ、胃の粘膜に付着しやすい特性を持っています。
東海大学医学部の古賀教授のグループは、乳酸菌でピロリ菌を抑制するにはヨーグルトが適していると考えました。1999年には約2500種類以上の乳酸菌の中で、最も酸に強く胃の粘膜に付着できる乳酸菌としてOLL2716株を選び出しました。
さまざまな研究によってOLL2716株は胃の中で生き続けることができ、ピロリ菌を抑制する働きがあることが分かっています。

LG21乳酸菌を使った試験結果

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OLL2716株の効果はピロリ菌感染者を対象に行った試験でも認められています。患者30人にOLL2716株を含まないヨーグルト1個90gを1日2回8週間摂ってもらった後に、
OLL2716株を含むヨーグルトを8週間摂ってもらったところ、食べる前と比べてピロリ菌の活動が抑えられ、胃の炎症も緩和されることが認められました。
また除菌治療との併用でもピロリ菌に対する効果が認められています。229人のピロリ菌感染者に、除菌治療とOLL2716株を含むヨーグルト1個90gを1日2回、治療前の3週間と治療期間中の1週間の計4週間摂ってもらったところ、
OLL2716株を摂らない人よりも除菌成功率が10%程度高くなる結果になりました。

ヨーグルトで手軽にピロリ菌対策

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ピロリ菌陽性者が生涯で胃がん発症するのは2.9%、胃潰瘍、十二指腸潰瘍は5~10%程度です。これを高いと見るか低いと見るかは人それぞれですが、ピロリ菌が病気のリスクを高めていることは間違いありません。
薬による除菌治療が最も一般的で二次除菌までは健康保険も適用されますが、一方で耐性菌の増加による除菌率の低下や副作用といった問題も抱えています。
乳酸菌で、これらのリスクを軽減できるならこんなに嬉しいことはありません。LG21が使われたヨーグルトが販売されていますので、予防のためや、治療と併用して利用すると良いでしょう。もちろんヨーグルトには他にもさまざまな健康に良い効果が期待できます。
ピロリ菌対策もできるヨーグルトを毎日の食生活に摂り入れて、健康的な毎日を送りたいですね。

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