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乳酸菌を摂取して軟便や下痢になるときは

乳酸菌自体に目立った副作用はない

乳酸菌を摂っているのに軟便になる

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お腹の調子を整えてくれる乳酸菌は、日本でも多くの方が摂取しています。ところが健康になりたくて乳酸菌を摂ったのに、軟便が続いたり下痢をすることがあります。
軟便とは水分を80%程度含み、形は保っていますがドロっしていて崩れやすい便のことです。下痢は水分量が90%程度あり、形が保てない液状の便のことです。

整腸作用を期待して乳酸菌を摂ったのに、軟便や下痢になると困惑してしまいます。
ですが私たちの腸は日常の些細なことで、便が柔らかくなったり下痢をしたりします。
必ずしも体調が悪化しているというわけではありません。さまざまな原因が複合的に関係しているため、乳酸菌を摂ったことが原因と言い切ることはできないのです。

乳酸菌には目立った副作用がない

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乳酸菌は私たちの腸内にも生息している善玉菌です。体に有用な働きをする菌ですから、特に目立った副作用はありません。
「乳酸菌を摂るとお腹を壊すことがあるのでは」とよく誤解されている方がいます。確かに腸内フローラのバランスが乱れると消化不良の原因になります。

しかし、乳酸菌の多くは酸に弱い性質を持つため、胃酸や胆汁酸で死滅してしまい生きて腸まで届く菌の数はあまり多くはありません。
中には酸に強く生きて腸まで届く菌もあります。ですが乳酸菌が生きて腸に届いたとしても、腸内にもともと生息していた常在菌によって、数時間から数日程度で便として排出されてしまいます。つまり腸内に定着できないのです。

このため腸内フローラのバランスを変えるまでには至りません。例え大量の菌を摂ったとしても同じです。そもそも私たちの腸内には100兆個以上の細菌が生息しています。普通の摂取量では腸内フローラはビクともしないでしょう。

腸内フローラの改善には時間がかかる

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多くの方は腸内環境を改善したくて乳酸菌を摂りますが、すぐに効果が実感できるわけではありません。もともと腸内で悪玉菌が増殖している場合、しばらく便性が改善されないことがあります。
これは食べ物などから摂った乳酸菌が腸内で自ら増殖するわけではなく、もともと腸に生息していた他の善玉菌が活性化されることで腸内環境が整えられるためです。
ですから腸内フローラが変わるまでには一定の時間が必要です。乳酸菌を短期間摂ってすぐに摂るのを止めてしまうと、ほとんど効果が得られないまま元の腸内環境に戻ってしまいます。

ぜん動運動が促されることで軟便や下痢になることがある

ビフィズス菌がぜん動運動を促す

乳酸菌の仲間であるビフィズス菌は、腸内で乳酸のほかに酢酸を多く生成します。この酢酸には食べ物を動かしながら排出に導くぜん動運動を促す働きがあります。
ぜん動運動によって私たちは自然に便意を感じることができ、お通じが保たれます。これは腸が元気な証拠でもあります。
ビフィズス菌の働きでぜん動運動が活発になるのは、大腸に溜まった便や悪玉菌が作り出した腐敗物質を排出するためです。

ぜん動運動が活発になると軟便や下痢になることがある

ところが、ぜん動運動が活発に働くと軟便や下痢になることがあります。
軟便は便が大腸に留まる時間が短いことで起こります。便の滞在時間が短いと十分に水分を吸収できないまま排出してしまいます。

ですが便が大腸に長く留まると、悪玉菌が便に含まれるたんぱく質や脂質をエサに増殖し、腸内腐敗を進めてしまうため良くありません。このようなことからぜん動運動によって軟便になるのは必ずしも悪いことではないと言えます。

また腸内に余分な水分が溜まると、腸壁で吸収しきれずにお腹の張りや腹痛を引き起こします。便と一緒に余分な水分が排出されることでお腹の調子を保っているのです。

乳酸菌には相性がある

腸内フローラは人によって異なる

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優れた効能を持つ乳酸菌だからといって自分の腸内環境と合うとは限りません。乳酸菌を摂っても軟便が続くという場合は、その菌が自分の腸内環境と合わない可能性があります。
腸内フローラは同じ人はいないと言われているほど千差万別です。人によって生息している菌の種類が異なります。

効果を実感できるかどうかは摂ってみないと分からない

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乳酸菌がその人の腸でどのように反応をするかは個人差があります。さまざまな研究によって健康に良いと認められていても、摂ってみないと合うか合わないか分からないのです。
どんなに良い乳酸菌でも自分が効果を実感することができなければ意味がありません。自分の腸内環境に合った乳酸菌を見つける必要があります。

乳酸菌が合わないからといって病気になることはないので、まずは2週間程度摂ってみましょう。体調の変化がはっきりと感じられない場合は、お通じの状態などをチェックして自分の腸に合うかどうか判断してください。

ヨーグルトの摂り過ぎでお腹を壊すことも

乳酸菌を含む食品と言えば多くの方はヨーグルトを真っ先に思い浮かべるでしょう。ヨーグルトをたくさん食べたときに軟便や下痢が発生した場合は、乳酸菌ではなくヨーグルトの原料である牛乳が原因であることが考えられます。
体質的に乳糖を分解する酵素があまり分泌されない、または全く分泌されない「乳糖不耐症」です。乳糖が分解されないまま大腸に送られ消化に負担がかかります。このため牛乳を飲むとお腹を壊してしまうのです。
ヨーグルトは乳酸菌の働きで乳糖がある程度は分解されていますが、全て分解されているわけではないので、人によってはたくさん食べるとお腹を壊すことがあります。

強いストレスは乳酸菌の働きを妨げる

脳と腸はお互いに影響しあっている

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軟便や下痢の原因は必ずしも腸だけではありません。強いストレスに晒されると自律神経を通して腸にも悪影響を及ぼし、軟便や下痢が引き起こされることがあります。
ストレスを感じるのは脳です。ですが脳と腸は自律神経によって繋がりお互いに影響しあっています。これを「脳腸相関」と呼びます。

自律神経の乱れが軟便や下痢を引き起こす

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脳がストレスを感じると自律神経の働きを乱してしまいます。自律神経には緊張や興奮を感じたときに優位になる交感神経と、心身が落ち着いたときに優位になる副交感神経があります。
私たちはこの二つの自律神経を交互に働かせることで体の機能を正常に保っています。ところがストレスによって副交感神経が強く働きすぎると、脳から腸に指令が送られて軟便や下痢が引き起こされます。
せっかくお腹の調子を整えてくれる乳酸菌を摂っても、ストレスが溜まる生活を送っていては乳酸菌がその力を発揮することはできません。乳酸菌を摂るだけではなく、ストレスが溜まらない生活を心がけましょう。

過敏性腸症候群の可能性

いま若い人たちの間で謎の便秘や下痢、腹痛に悩まされる「過敏性腸症候群」の方、あるいはその予備軍が増えています。
通勤電車の中や大事な会議の途中に突発的な便意を感じてトイレに駆け込む、急にお腹が痛くなる、お通じが安定しないといった症状が特徴です。
病院で検査を受けても胃や腸にはっきりとした異常が見つからないため、有効な対処ができないまま長い間、症状に苦しめられている方が多くいます。

その原因は強いストレスにあると考えられています。乳酸菌を摂っても軟便が続いたり、下痢が発生する場合は過敏性腸症候群の可能性があります。

まずはストレスに対処し、合わせて乳酸菌やビフィズス菌を摂って腸内環境の改善を目指しましょう。過敏性腸症候群は難しい病気です。焦らずに時間をかけて治していくことが大切です。

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