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乳酸菌とビタミンの相性

体の機能維持に欠かせないビタミン

私たちの体は健康を維持するためにさまざまな栄養素を必要としています。その中でもビタミンは体の成長、細胞の維持、肌の新陳代謝、体力や食欲の維持、血液の凝固などに必要不可欠な栄養素です。

ビタミンは炭水化物、たんぱく質、脂質、ミネラルとともに五大栄養素の一つに数えられています。ビタミンが不足すると体の機能を維持することができなくなります。ビタミンB1、B12、ビタミンKの不足は、食欲不振やだるさなどの体の不調に繋がります。

また、ビタミンは美容とも深く関係していて、肌の保湿機能の維持や美白に効果があります。肌トラブルに悩まされている方はビタミンCやBが不足している可能性があります。ビタミンはいつまでも健康で美しくありたいという女性にとって特に大切な栄養素です。

乳酸菌とビタミンの関係

乳酸菌は腸でビタミンを合成する

乳酸菌と言えば腸内環境を整えてくれる健康成分として有名ですが、あまり知られていない働きにビタミンの合成があります。主に腸で働く乳酸菌がどうしてビタミンを作るのかと不思議に思われるかもしれませんが、乳酸菌が働く腸はさまざまな栄養素の製造工場でもあります。

乳酸菌が合成するビタミンの種類

乳酸菌が合成するビタミンにはB1、B6、B12、ビタミンKなどがあります。中でもビフィズス菌はビタミンB2、B6、葉酸、ビタミンKを合成することで知られていて、ビタミンの吸収を促す働きもあるとされています。

これらのビタミンは豚肉やレバーなどの肉類、野菜や果物、牛乳やヨーグルトから摂ることができますが、食事だけで十分な量のビタミンを補うのはなかなか大変です。
乳酸菌が腸内でビタミンを合成してくれるおかげで、私たちはビタミン欠乏症に陥ることなく健康に生活することができるのです。

もちろん体に必要なビタミンを全て乳酸菌が合成してくれるわけではありません。ビタミンCは体内で合成することができないことで知られています。

もちろん食事からの摂取も必要

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体に必要なビタミンをしっかり補うためには乳酸菌だけではなく、野菜や果物をバランスよく毎日の食事に摂り入れる必要があります。とはいえせっかく食事でビタミンを摂ってもちゃんと吸収されなかったり、破壊されてしまっては効果も半減してしまいます。
多忙な現代人は生活習慣や食生活が乱れがちです。それによってせっかく摂ったビタミンが壊れてしまったり、効率的に吸収できないことがあります。
ビタミンを合成し吸収を促す乳酸菌を活用して、効率よくビタミンを摂る習慣を身につけましょう。

乳酸菌が合成するビタミンの働き

乳酸菌とビフィズス菌はビタミンB群を中心にさまざまなビタミンを合成してくれます。そこでそれぞれのビタミンの働きについて確認しておきましょう。

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・ビタミンB1
水溶性ビタミンの一つで、糖質を代謝してエネルギーに変える働きをするほか、皮膚や粘膜を正常な状態に保ってくれます。さらに脳神経系は糖質を栄養源としていますが、この働きを保つために必要な栄養素でもあります。

ビタミンB1が不足すると糖質を上手くエネルギーに変えることができなくなるため、疲労感やだるさ、食欲不振を感じやすくなります。体の機能維持に重要な役目を果たすビタミンB1が不足しないように心がけましょう。豚肉やうなぎ、ナッツ類に豊富に含まれています。

・ビタミンB2
水溶性ビタミンの一つで、健康な皮膚や粘膜、髪の毛、爪の形成に欠かせない栄養素です。ほかにも糖質や脂質、たんぱく質を代謝してエネルギーに変える働きをするため、運動などでエネルギーをたくさん消費する人は特に必要な栄養素です。

ビタミンB2が不足すると、口の端が切れてしまう口角炎や、口の中で炎症が発生して出血する口内炎、さらに皮膚や粘膜にも炎症が発生しやすくなります。
体の機能維持に欠かせない成分ですからたくさん摂るように心がけましょう。鶏と豚のレバー、牛乳に豊富に含まれています。

・ビタミンB6
水溶性ビタミンの一つで、皮膚炎を予防する効果があることで知られています。そのほかの働きとしては、たんぱく質を代謝してエネルギーに変えて筋肉や血液の生成を促します。
さらに皮膚や粘膜の健康維持にも貢献しています。

ビタミンB6が不足すると湿疹などの皮膚炎、口内炎、貧血などが引き起こされます。
腸内細菌によって作られるビタミンであり不足しにくい栄養素ですが、抗生剤を長期間飲んでいる人は腸内の善玉菌が減少してしまうため不足することがあるとされています。かつお、まぐろ、さんまなどの青魚に豊富に含まれています。

・ビタミンB12
水溶性ビタミンの一つで、悪性貧血を防ぐことで知られています。血液の形成に必要な栄養素であり、葉酸とともに赤血球中に含まれるヘモグロビンの生成を助ける働きをします。またアミノ酸やたんぱく質の合成を助けることで神経の機能を維持するほか、DNAの形成促進にも関係している栄養素です。

ビタミンB12が不足すると、赤血球が減少したり巨大な赤血球が出来るなどの血管の異常に繋がり、悪性の貧血を発症します。よほど偏った食生活を送っていなければ不足することは稀ですが、体質的にビタミンB12の吸収が上手くできない人や、動物性食品を食べない人は不足する可能性があります。
鶏と牛のレバー、カキやさんまに豊富に含まれています。

・葉酸
ビタミンB群の一つで水に溶ける水溶性ビタミンです。葉酸はたんぱく質や細胞を作るときに必要となるDNAなどの核酸を合成する働きがあります。そのため赤血球の形成を促し、細胞分裂を活性化することで胎児の正常な発育に繋げる効果が期待されています。
妊娠中の女性に必要な栄養素として葉酸が挙げられるのは、胎児の発育を助けるだけでなく、神経管閉鎖障害などの発育不全のリスクを下げるためです。

また、葉酸はビタミンB12と協力して血液を形成する働きもありますから、ビタミンB12と一緒に摂るとより効果的です。普段は食事から十分な量を補うことができるため不足することは稀ですが、妊娠中の方は普段の2倍近くの葉酸が必要となり不足しやすいため、積極的に摂る必要があります。
レバーやほうれん草、ブロッコリー、枝豆などの緑黄色野菜に豊富に含まれています。

・ビタミンK
油に溶ける脂溶性ビタミンの一つで、怪我などによって出血したときに血液を固めて止血する因子を活性化する重要な役割を果たしています。出血してもすぐに血が止まるのはビタミンKのおかげです。
ビタミンKが不足すると血液が固まりにくくなるため、出血したときの治りが遅くなります。ほかにも骨にあるたんぱく質を活性化することで、骨が形成されるのを促してくれます。

ビタミンKは骨粗しょう症の治療薬としても活用されていますから、骨粗しょう症になりやすい女性は骨の健康維持のために積極的に摂りたい栄養素です。そのほかにも血管を正常に保つ働きがあり、動脈硬化の予防にも貢献します。納豆、ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜に豊富に含まれています。

乳酸菌と一緒に摂りたいビタミンC

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ビタミンCは体内で作ることができない栄養素です。先述したように乳酸菌がビタミンBなどを合成しますが、実はその働きにビタミンCが深く関係していることが分かっています。
さまざまな健康に良い働きをする乳酸菌も栄養源がないと腸内で活動することができません。乳酸菌がビタミンを合成するためにエサとなるのがビタミンCなのです。
ビタミンCは抗酸化作用が強く劣化しにくい栄養素です。肌の水分保持や美白効果も期待できますが、乳酸菌と一緒に摂ることで腸内でビタミン合成を促してくれます。

ただしビタミンCは熱に弱い性質を持つため、加熱すると成分が破壊されていきます。ビタミンCが含まれている食べ物と言えば果物ですが、中でも豊富なのがオレンジやみかんなどの柑橘類やレモンです。新鮮な果物を加熱せずに生で食べることでビタミンCを補い、乳酸菌の働きを助けましょう。

ビオチンを増やすビフィズス菌BB536株

ビオチンとは

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ビオチンはビタミンB7と呼ばれることもある水溶性ビタミンです。その働きはエネルギーの代謝を促すことで皮膚や粘膜を正常な状態に保ち、健康維持に欠かせない栄養素です。
水溶性ですがたんぱく質と結合するため破壊されにくく、食品からも摂取しやすい栄養素です。さらに体内にも肝臓や腎臓などに多く存在し、腸内の善玉菌によって合成されます。
このため、これまでは「ビオチン欠乏症」になることはほとんどないと言われていました。

ところが最近は偏食などによってビオチンが不足気味の人が増えていることが分かっています。腸内で善玉菌が減って腸内環境が悪化すると、ビオチンの合成が十分に行われなくなります。

ビオチンが不足すると

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体内でビオチンが不足すると、疲労や筋肉痛の回復が遅れ、無気力や憂鬱など精神面にも悪影響を与え、髪の質が悪化するため脱毛や白髪が目立つようになります。ほかにも肌の新陳代謝が上手くできなくなるため、湿疹などの皮膚炎や肌荒れ、アトピー性皮膚炎を引き起こします。
中でもアトピー性皮膚炎はビオチン不足の影響が大きく、治療にはビオチンの投与が行われています。そのためアトピー性皮膚炎の方はビオチンを積極的に摂る必要があります。

ビオチンの不足を防ぐためには野菜や果物をたくさん摂って食事から補うほか、乳酸菌など善玉菌を摂ることで腸内環境を整えて、ビオチンの合成を促す必要があります。

ビオチンを増やすBB536株

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近年の研究では、一部の乳酸菌にはビオチンを増やす働きがあることが分かっています。その一つが1969年に森永乳業によって発見されたビフィズス菌BB536株です。

森永乳業が理化学研究所との共同で行った研究では、BB536株の生理機能を解析し、腸内フローラにどのような影響を与えるかについて調べました。
試験では15菌種のヒトの腸内に生息する腸内細菌を無菌マウスに定着させた特殊なマウスを使い、2つのグループに分けて一方にはBB536株10億個を14日間摂らせました。摂取前後には便を調べ水溶性の腸内代謝産物と腸内細菌の占有率を解析しました。
その結果、BB536株を摂ったマウスはビオチンの量が増加することが確認されました。またBB536株だけの力でビオチンの増加を促すのではなく、他の腸内細菌と相互に作用することで間接的に増加を促すことも分かりました。

BB536株は、葉酸などのビタミンB群の合成することがこれまでの研究で認められていますが、ビオチンの量を増やすことも明らかになり、より高い健康効果が期待されています。

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