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乳酸菌歯磨きで口臭・虫歯・歯周病予防効果

日本人の約7割が感染すると言われる歯周病は深刻な現代病です。歯磨きなどの日々のデンタルケアを徹底し、生活習慣を改善するなど予防法はいろいろありますが、
最近では乳酸菌歯磨きなるものがテレビで取り上げられちょっとしたブームになっています。腸内環境を整える乳酸菌で歯周病や虫歯を予防できるなんて疑問に思うかもしれませんが、その理由は口腔内の細菌にあります。

乳酸菌がデンタルケアに良い理由

私たちの口の中にはさまざまな細菌が住みつき、腸と同じく口腔内フローラを形成しています。口内に住む菌は乳酸菌などの善玉菌や、ジンジバリス菌やミュータント菌といった悪玉菌まで多種多様です。
ジンジバリス菌は歯についた歯垢から糖やタンパク質をエサとして増殖し、歯肉などの組織を破壊し炎症を引き起こします。歯茎に炎症が起こると悪臭を放ち、血液を栄養にしてさらに増殖していき、放置すると歯が抜けてしまいます。
虫歯の原因となるミュータント菌は、糖から酸を作り出し歯の成分であるカルシウムやリンを溶かすことで、虫歯を進行させ歯を脆くします。

このような悪玉菌の増殖を抑えてくれるのが乳酸菌です。乳酸菌が作り出す乳酸には殺菌効果があり悪玉菌を抑制してくれます。乳酸菌によって口内環境が整えられることで、虫歯や歯周病が予防され、口臭の改善にも繋がります。

虫歯や歯周病を予防する乳酸菌

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・ロイテリ菌
いくつかの乳酸菌には歯周病や虫歯の予防効果が証明されています。そのひとつが病原性大腸菌O157などを殺菌する効果があることで知られているロイテリ菌です。
広島大学大学院の二川浩樹教授のグループは、ロイテリ菌に虫歯菌を混ぜて試験管で培養したところ、虫歯菌の約9割が発育を抑制されることを発見しました。
さらに学生20名を対象に行った試験では、ロイテリ菌入りヨーグルトを1日2回、2週間摂ってもらい、口腔内の細菌を検査したところ、唾液中に含まれる虫歯菌が約1/3から1/5まで減るという結果になりました。
ロイテリ菌ヨーグルトの摂取を中止した後も、虫歯菌は1/2から1/4に減少した状態が続き、効果に持続性があることも分かっています。

・乳酸菌LS1
ほかにも健康な人の口腔内から分離されたLS1には、歯周病菌や虫歯菌を抑制する効果があることが認められています。
東海大学の古賀教授が行った試験では、歯周病の原因となるジンジバリス菌などの3菌にLS1を加えて培養したところ、24時間で3菌ともほぼ死滅しました。
さらにミュータント菌にLS1を加えて培養したところ、虫歯発症物質の不溶性グルカンの生成が著しく抑制されることも認められました。

歯周病や虫歯が気になる方は、ロイテリ菌やLS1といった効果が認められた乳酸菌入りヨーグルトで歯を磨いてみるのも良いでしょう。

口臭を予防する乳酸菌

口臭の原因は歯垢と悪玉菌だと言われています。歯垢は歯についた食べかすに細菌が繁殖した黄白色のネバネバした物質です。口の中に残った食べかすに含まれるたんぱく質を歯垢の中の悪玉菌が分解することで、あのきつく嫌な臭いを発しています。
口臭を予防するためには歯垢と悪玉菌を除去する必要があり、歯垢は毎日の歯磨きで除去する必要がありますが、乳酸菌によって口腔内の善玉菌が活性化されることで、悪玉菌が抑え込まれ口臭の予防にも繋がります。

乳酸菌歯磨きの方法

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乳酸菌歯磨きには主に二つの方法があります。一つは無糖ヨーグルトを使う方法、もう一つは市販されている乳酸菌入り歯磨き粉を使う方法です。

ヨーグルト歯磨き

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無糖ヨーグルトを使った歯磨きは東京医科歯科大学病院の和泉雄一教授も推奨しています。
通常の歯磨きの仕上げとして、ヨーグルトで磨くことで乳酸菌によって歯周病や虫歯の原因となる口内細菌が激減するのだそうです。

1)まず通常通り歯磨き粉をつけて、ハブラシの毛が歯に対して垂直になるように歯と歯の間や、歯と歯茎の境目を横に細かく動かして磨きます。
2)水で一度すすいで食べかすや歯垢をしっかりと洗い流します。
3)ハブラシに無糖ヨーグルトを少量つけて、同じようにして磨きます。
4)すすがずにそのままヨーグルトを飲み込んでしまいます。せっかくヨーグルトで磨いても水で洗い流してしまうと、効果がなくなってしまうからだそうです。

市販の乳酸菌入り歯磨き

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最近では乳酸菌の歯周病や虫歯を予防する効果に着目して、生きた乳酸菌を配合した歯磨き粉も売られています。
このような歯磨き粉であれば二回も歯を磨く必要がなく、歯垢を除去しながら口腔内の悪玉菌を抑制することができるため一石二鳥です。
殺菌効果の高いマウスウォッシュなどは善玉菌まで減らしてしまい、結果的に口内環境を悪化させてしまうことがありますが、乳酸菌を配合した歯磨き粉ならそのような心配も要りません。
また安全性に関しても一定の保障がされているためヨーグルトよりも安心できるかもしれません。

乳酸菌歯磨きの問題点

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乳酸菌歯磨きは問題点も指摘されています。乳酸菌が作り出す乳酸には殺菌効果があり悪玉菌に働きかけ死滅させますが、ミュータント菌と結びつくことで多量の乳酸が生成されてしまいます。強い酸は歯にとっても有害で、歯のエナメル質を溶かしてしまい、虫歯にかかりやすくなります。
特にヨーグルト歯磨きは最後に口をすすがないため、「歯に良くない」と危険性を指摘する歯医者さんも居ます。
このように酸によって溶けた歯を「酸蝕歯」と言いますが、症状は虫歯と全く同じです。歯に穴が開くと虫歯にもかかりやすくなります。
しかし、少量の乳酸菌を口に入れただけでは酸が多量に作られることはなく、あくまで原因はミュータント菌にあります。
通常の歯磨きでミュータント菌をしっかり洗い流すことで防ぐことは可能です。とは言っても100%安全が保障されているわけではないので、ヨーグルト歯磨きは歯の状態を確認しながら行ってください。

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