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トクホの乳酸菌食品

トクホとは

トクホの特徴

トクホは正式には特定保健用食品といいます。特定の保健効果と安全性が科学的根拠に基づいて認められた食品のことです。
メーカー側が提出した研究データなどを基に消費者庁が審査を行い、消費者庁長官が承認することでトクホマークを使用することが許可されます。
トクホはこれまで曖昧であった健康効果を謳った食品を、科学的に信頼あるものにするために誕生した保健機能食品の一つです。1991年に制度がはじまり世界的にも注目されています。
保健機能食品にはトクホのほかに、栄養機能食品、機能性表示食品もありますが、それぞれの食品に対して消費者庁で個別に審査を行って承認されるのはトクホだけです。
そのためトクホは保健機能食品の指定を受けることができない健康食品よりも信頼性が高いのが特徴です。

トクホで認められた保健効果

これまで、以下の保健効果を持つ健康食品やサプリメントが、トクホの審査の対象となっています。

・お腹の調子を整える食品
・コレステロールが高めな方向けの食品
・血圧が高めな方向けの食品
・血糖値が気になり始めた方向けの食品
・ミネラルの吸収を助ける食品
・骨の健康が気になる方向けの食品
・虫歯の原因になりにくい食品と歯を丈夫にする食品
・血中中性脂肪、体脂肪が気になる方向けの食品

お腹の調子を整えるトクホ

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このうち乳酸菌食品は「お腹の調子を整えるトクホ」に該当します。2015年現在でトクホとして認められた乳酸菌食品は、ヨーグルトと飲むヨーグルト、乳酸菌飲料に限定されますが、多くの食品がトクホの認定を受けています。
その数は2013年8月時点で1077品目にのぼり、そのうち便秘の改善や下痢の予防など、整腸作用が科学的に認められた機能性乳酸菌を使用した発酵乳とヨーグルトは、75種類以上にのぼります。
またお腹の調子を整えるトクホには、乳酸菌を含む食品のほかに、オリゴ糖を含む食品、食物繊維を含む食品も数多く認定されています。
この二つの成分は腸内の乳酸菌やビフィズス菌のエサとなり増殖を促すことができますから、ヨーグルトなどの乳酸菌食品だけでなく、オリゴ糖や食物繊維を含んだトクホの食品を組み合わせることで相乗効果が期待できます。

トクホの乳酸菌食品で得られる効果

日本健康・栄養食品協会によってトクホの乳酸菌食品で認められている効果は以下の五つです。

・悪玉菌の増殖を防ぐ
・腸内の腐敗を防ぐことで、動脈硬化や高血圧のリスクを下げる
・腸を刺激することでお通じを促す
・腸内環境を整えることで免疫力を高める
・血中コレステロール値の上昇を抑える

トクホとして認められている乳酸菌の種類

乳酸菌はこれまで350種類以上が見つかっていますが、トクホでは、ブルガリア菌やカゼイ菌といった菌種単位ではなく、さらにその下の菌株単位で細かく対象となる乳酸菌が決められています。
これまでにトクホに認定された菌株には主に以下のものがあります。なおビフィドバクテリウム属とはビフィズス菌のことです。

ラクトバチルス属

ブルガリア・2038株
サーモフィラス・1131株
カゼイ・シロタ株
カゼイ・NY1301株
ガセリ菌SP株(SBT2055株) アシドフィルス・CK92株
アシドフィルス・CK60株

ビフィドバクテリウム属

BB536株
Bb-12株
ビフィズス菌SP株(SBT2928株)
LKM512株
ブレーベ・ヤクルト株

トクホの問題点

トクホの審査には大規模な研究や調査が必要

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このように、トクホは保健効果と安全性に消費者庁のお墨付きを得た食品であり、高い信頼性を持つのが特徴ですが、問題点がないわけではありません。
一つは消費者庁の審査を受けるためには、エビデンスに基づいてしっかりとした科学的根拠を示す必要があり、そのために大規模な研究や調査が必要である点です。
大規模な研究や調査を行うには莫大なコストと時間がかかります。しかもヨーグルトなど味や原材料がちょっと違うだけの新商品を出そうとした場合に、また新たにトクホの審査を受ける必要があります。
そのためトクホ市場に参入できるのはどうしても潤沢な資金力を持つ大手メーカーに偏ってしまいます。
これまで曖昧だった健康効果をしっかりと定義して、科学的に裏づけが取れたものを審査して国が認めるというトクホは、消費者にとって大きなメリットがあります。
しかし、同じ乳酸菌を使っていれば同じ健康効果があるのに、大手メーカーが開発した食品はトクホの認定を受けて、大規模な研究や調査を行えないメーカーが開発した食品は審査を受けられないのは不合理です。

トクホを過信しすぎてはいけない

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消費者にとってトクホが絶対的に信用できるものでないことを示す事例も、過去には報告されています。あるトクホの承認を受けた植物油は、その後に発がん性が指摘されて販売中止になりました。
メーカー側はしっかりとしたエビデンスを提出する必要があり、科学的根拠に基づいた厳しい審査を行ってもなお、問題が起きることがあります。
「トクホだから絶対に安全だ」とは言い切れないのです。さらに研究は日々進歩していますから、これまで健康に良いと思われていたものが、実は違ったということがこの先に起きないとも限りません。
だからといって「トクホは信用できない」ということではありません。お腹の調子を整えたいときに乳酸菌食品を選ぶ大きな判断材料となるからです。
国は審査をより厳しく行うことで健康効果を保証しようとしていますが、表示が全てではないことを頭に入れておきましょう。

大切なことは自分の腸に合うかどうか

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私たちの腸内には500種類以上、数にして100兆~1000兆個もの腸内細菌が生息していますが、同じ腸内フローラを持つ人はいないと言われています。
人によって生息している腸内細菌の種類が異なるからです。もちろんこれは乳酸菌やビフィズス菌も同じです。
乳酸菌には人によって合う合わないがあります。例えばしっかりとしたエビデンスが公開されているトクホのヨーグルトであっても、使われている乳酸菌が自分の腸内環境に合わなければ効果を実感することはできません。
トクホだからといって誰もが効果を実感することができるとは限らないのです。どれだけトクホが信頼できるものでも、自分が効果を感じられなければ意味がありません。
とはいえヨーグルトなどの乳酸菌食品は気軽に購入して試すことができます。副作用も特にありませんから、「摂ったけど効果がなかったどうしよう」などと身構えずに、実際に自分で食べて効果を確かめてみましょう。

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