メインイメージ メインイメージ

乳酸菌とビフィズス菌の関係は

ヨーグルトに配合されているビフィズス菌は私たちにとって今や身近な存在です。中にはヨーグルトにはビフィズス菌だけが使われていると勘違いしている方もいます。
しかし、ビフィズス菌だけが使われたヨーグルトはありません。一般的なヨーグルトは乳酸球菌のブルガリクス菌と乳酸桿菌のサーモフィラス菌を組み合わせて添加し発酵させています。
ビフィズス菌入りを謳っているヨーグルトはこの2つの乳酸菌にビフィズス菌を加えています。
乳酸菌だけを使ったヨーグルトにも整腸作用などの健康に良い効果はありますが、ビフィズス菌を加えたヨーグルトのほうがより高い効果が期待できるとされています。

ビフィズス菌とは

ビフィズス菌は1899年、フランスのパスツール研究所のティシエ博士によって乳児の排泄物から発見されました。
乳酸菌は乳糖などの糖類から乳酸を作り出す菌の総称で、ビフィズス菌も乳酸を作り出すため一般的には乳酸菌の一種とされています。
しかし、乳酸菌とは異なる特徴を持つことから、分類学的には乳酸菌とは違う種類の菌として区別され、別の名前で呼ばれています。
乳酸菌は菌属として「ラクトバチルス(乳酸桿菌)」「ラクトコッカス(乳酸球菌)」などいう名前で呼ばれています。一方、ビフィズス菌は「ビフィドバクテリウム」と呼ばれます。
乳酸菌とビフィズス菌は人や動物の腸内に生息する善玉菌です。乳酸菌は腸内でビフィズス菌の働きを助ける役目も果たしています。

ビフィズス菌の種類

ビフィズス菌は約30種類に分類されていて、その中で10種類程が人の腸から見つかっています。人と動物では住んでいるビフィズス菌が異なります。ここでは人の腸に住む代表的な5種類のビフィズス菌を紹介します。

詳細を読む

・ビフィドバクテリウムビフィダム
1899年にフランスのパスツール研究所で世界で初めて発見されたビフィズス菌です。腸内で善玉菌として活動することで腸内環境を整え、大腸菌などの悪玉菌を抑制します。
胃の粘膜を保護する作用があることから、ピロリ菌を抑制して胃潰瘍や胃がんといった病気を予防する効果が期待されています。
このうちヤクルトが保有するビフィダムY株には、乳酸菌飲料の飲用試験によって胃の不快感を改善する効果が認められています。

・ビフィドバクテリウムロンガム
日本人の腸内で多く生息しているビフィズス菌で、乳児から成人までほぼ一定の割合で生息していますが、年齢とともに減少していきます。
酸に強い特性を持ち、胃酸で死滅することなく生きて腸内に届き、善玉菌を増やして悪玉菌を減らすことで便秘などの症状を改善します。
また森永乳業が保有するBB536株には、免疫力の向上によるインフルエンザや病原性大腸菌O157の予防効果、花粉症の症状を改善する効果、血中コレステロール値を下げる作用などが確認されています。

・ビフィドバクテリウムアドレッセンティス
大人の腸内に生息しているビフィズス菌で、善玉コレステロールを増やすことで悪玉コレステロールを減らす作用があるとされ、動脈硬化の予防効果が期待されています。

・ビフィドバクテリウムブレーべ
乳児の腸内に多く生息しているビフィズス菌です。このうちヤクルト株には、オリゴ糖を一緒に摂取することで潰瘍性大腸炎を軽減する効果、肌荒れを改善する効果が認められています。
森永乳業が保有するM-16Vには、低出生体重児の発育を促進する作用、ミルクアレルギーを持つ乳児のアトピー性皮膚炎の症状を緩和する作用が認められています。
M-16Vはアレルギー症状に有効な他のビフィズス菌や乳酸菌と比べた動物実験で、アレルギー性皮膚炎や喘息に対する抑制作用が最も高いことが分かっています。

・ビフィドバクテリウムインファンティス
ビフィズス菌の基本種とされていて、整腸作用によって便秘や下痢といった症状を改善に導きます。ほかにも花粉症などのアレルギー症状を改善する効果、腸管出血性大腸菌を予防する効果が期待されています。

乳酸菌とビフィズス菌の違い

乳酸菌とビフィズス菌はそれぞれ異なる特徴を持っています。

菌の形状の違い

詳細を読む

乳酸菌は細長い棒または円筒状の桿菌と丸い形をした球菌であるのに対して、多くのビフィズス菌は分枝状、Y字形、V字形、棍棒状など不規則な形をした桿菌です。
このような形をしていることからラテン語で「分岐」という意味のbifidから、バチルスビフィダスという名称がつけられ、やがてビフィズス菌と呼ばれるようになりました。

住む場所の違い

詳細を読む

乳酸菌は人や動物の腸内のほか、牛乳などの動物の乳や穀物や野菜など植物まで自然界に幅広く生息しています。それに対してビフィズス菌は人や動物の大腸でしか生息することが出来ません。

生息数の違い

詳細を読む

人の腸内に住む乳酸菌の数は善玉菌の0.1%以下の1億~1000億個に過ぎません。ビフィズス菌の数はその100倍から1万倍の1兆~10兆個と言われています。

腸内での作り出す物質の違い

詳細を読む

乳酸菌は腸内で乳糖などの糖類を分解して乳酸を作り出しますが、ビフィズス菌は乳酸に加えて殺菌力の強い酢酸も作り出します。
この酢酸には乳酸よりも大腸菌の増殖を抑制する効果が高く、病原性大腸菌O157などの予防効果があることが認められています。
また乳酸菌は消費するブドウ糖100に対して5割以上の乳酸を作りますが、ビフィズス菌は同じようにブドウ糖を100消費しても、5割以下の乳酸しか作ることが出来ません。その分酢酸を生成しているからです。
ビフィズス菌はほかにも葉酸などのビタミンB群を作り出し、栄養素の吸収率を高めてくれます。

酸素に弱いビフィズス菌

詳細を読む

ビフィズス菌は酸素がある環境では増殖することができません。乳酸菌と違い腸内にしか存在しないのはこのためです。
酸素は口や鼻から入り胃を通って小腸へ行き大腸まで入り込みますが、大腸に届く段階では酸素が他の微生物などによって消費されるため、ほとんどなくなってしまいます。
そのため大腸で生息している微生物の多くは酸素が少ない環境でも生きられる菌です。逆に酸素のない環境で増殖できるのがビフィズス菌の特徴です。
一方、乳酸菌は酸素がある環境でも生きることが出来るため、腸内のほかに動物の乳や植物などさまざまな場所に生息しています。

年齢とともに減少していくビフィズス菌

私たちの腸内に住むビフィズス菌の数は生後1週間頃までが最も多く、乳児の腸内では95%がビフィズス菌です。
しかし、離乳が始まると少しずつ減少に転じ、中高年を迎えたあたりから一気に減り、老年期には腸内のわずか1%まで減ってしまいます。
一方、悪玉菌は加齢によって増える傾向にあり、腸内環境の悪化によって便秘や下痢のほか肌荒れなどさまざまな症状を引き起こします。

健康や美容を維持するためには、ビフィズス菌を増やして腸内フローラのバランスを改善する必要があります。
ヨーグルトなどでビフィズス菌を習慣的に摂ることも効果的ですが、ビフィズス菌の多くは胃酸に弱いため、生きて腸まで届く量は多くはありません。
そこで胃酸や胆汁に強いプロバイオティクスの乳酸菌を合わせて摂ることをおすすめします。生きた乳酸菌によって善玉菌の活動に適した腸内環境に整えられると、腸内に住むビフィズス菌も増えていきます。

関連記事の一覧