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乳酸菌飲料で腸内環境を改善

乳酸菌飲料とは

手軽に乳酸菌を摂ることができる乳酸菌飲料は多くのメーカーが商品開発に参入し、ヨーグルトと並んで人気商品が続々と登場しています。
今日ではたくさんの日本人に飲まれている乳酸菌飲料ですが、厚生労働省が定める「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」では、「乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させたものを加工し、又は主要原料とした飲料(発酵乳を除く)」と定義されています。

分かりやすく言うと、牛などの動物の乳を乳酸菌や酵母で発酵させて作られた飲み物という意味です。
なお発酵乳はヨーグルトを意味していますから、飲むヨーグルトは含まれません。

乳酸菌飲料は、以下の2種類に分かれています。

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(1)乳製品乳酸菌飲料
無脂乳固形分3.0%以上、乳酸菌または酵母の数が1mlあたり1000万個以上含む飲料。

(2)乳酸菌飲料
無脂肪固形分3.0%以下、乳酸菌または酵母の数が1mlあたり100万個以上含む飲料。

生菌を使った乳酸菌飲料と死菌を使った乳酸菌飲料の違い

乳酸菌飲料に使われている乳酸菌は「生きた状態の菌=生菌」が使われているものと、「製造段階で加熱殺菌処理された菌=死菌」が使われているものに分けることができます。商品のパッケージに「加熱殺菌」「殺菌」などと書かれているものは死菌が使われています。
乳酸菌と言うと「生きて腸まで届かないと意味がないのでは?」と思われている方も多くいますが、生菌にも死菌にもそれぞれメリットがあり、どちらが良いとは一概に言えません。

生菌のメリット

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生菌は生きて腸まで届くことで糖を分解して大量の乳酸や酢酸を作り出し、善玉菌の活動に適した弱酸性に変えることで、腸内にもともと住んでいた善玉菌の増殖を促し、悪玉菌を抑制することができます。

さらに生きた乳酸菌には

・免疫力を高める
・アレルギー症状を緩和する
・風邪やインフルエンザを予防する
・体脂肪を抑制する

など、整腸作用以外にもさまざまな効果が認められています。

しかし、乳酸菌の中でも動物の乳に生息する動物性乳酸菌の大半は酸に弱い性質を持つため、胃酸や胆汁酸でその多くが死滅してしまい生きて腸まで届けることは困難です。
もっとも、近年では酸に強い乳酸菌が続々と発見されていて、植物性乳酸菌であるラブレ菌のような生命力が強い菌も乳酸菌飲料に使われています。

死菌のメリット

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一方、加熱殺菌処理された死菌は生きて腸まで届くことはありませんが、

殺菌することで

・品質が安定し常温で長期保存できる
・高密度に圧縮できるため一度に大量の菌を摂ることができる
・菌体そのものは胃などの酵素で分解されることなく腸まで届く

というメリットがあります。

このため、近年では乳酸菌飲料にも死菌が採用されることが多くなっています。飲むだけで大量の乳酸菌が摂れるのが乳酸菌飲料最大の長所ですから、生菌よりも多くの乳酸菌を配合でき、出来立てのおいしさを長期間保つことのできる死菌は理に適っています。
生菌を使った場合はチルド配送になりますが、死菌を使えば常温で流通できるのも大きいです。

死菌は腸内で善玉菌のエサとなることで増殖を促してくれます。近年の研究では死菌にも一定の整腸作用があることが認められていますから、大量に摂ることで生菌以上の整腸作用が期待できそうです。

乳酸菌飲料の効果

高い整腸作用

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乳酸菌と言えば「お腹に良い」「腸内環境を整えてくれる」といったことをイメージしますが、乳酸菌飲料も高い整腸作用が期待できます。生菌を採用している商品では「生きて腸に届ける」ことにこだわり、生命力が強く生きて腸に届く乳酸菌を配合しています。
死菌を採用した商品では、大量の菌を配合することで高い整腸作用を謳っています。菌の生死に関わらず乳酸菌には整腸作用が期待できますから、どちらにしてもたくさんの乳酸菌を摂ることが大切です。
その点で言えば、ヨーグルトなどの食品と比べて摂りやすく続けやすい乳酸菌飲料は、手軽に大量の乳酸菌を補給することができ、腸内環境を改善する効果が高いと言えます。

乳酸菌飲料の香りがストレスをやわらげる

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ストレス社会と呼ばれている現代では、多くの人が仕事や人間関係によって強いストレスを感じています。このような日々蓄積されていくストレスを軽減するためには、心身をリラックスさせることが大切です。
その中でもアロマテラピーなど香りを使ったリラックス法は効果的です。人は心地よい香りを嗅ぐことで心が癒され、身体がリラックス状態に導かれることはさまざまな研究でも証明されています。

そこで乳酸菌と酵母によって発酵させた乳酸菌飲料の香りに、リラックス効果があるか調べる研究がカルピス社で行われました。

【研究内容】
カルピス社が独自に発酵させた発酵乳の香りには、自律神経に働きかけることで体のリズムを改善し、不安を和らげる働きがあることはマウスを使った試験で確認されています。
人間にも同様の効果があるのではないかと考え、大学生30名(男女各15名)を対象に試験を行い、その結果は2015年5月に開かれた心理学会大会(大阪)で発表されました。

試験では30名を2つのグループに分けて、一方には乳酸菌飲料の香りから、もう一方には脱臭空気から順に、休憩時間を挟みながら嗅いでもらいました。
また瞳はリラックス状態になると収縮するため、香りを嗅ぐ前と後で瞳が収縮する様子を観察し、不安感についてのアンケートも実施しました。

その結果、乳酸菌飲料の香りを嗅いだグループでは脱臭空気を嗅いだグループよりも瞳の収縮率が大きく、アンケートでも不安感を示すスコアが低いことが分かりました。
さらにストレスを強く感じていると判断された20名を対象に、香りを嗅ぐ前後の心拍数の変化を調べました。その結果、脱臭空気を嗅いだグループは心拍数が増加しましたが、乳酸菌飲料の香りを嗅いだグループでは、心拍数が増加しないことが分かりました。

この研究から、乳酸菌飲料の香りにはリラックス効果が確認でき、乳酸菌飲料がストレス対策に有効である可能性を示してします。日常生活で強いストレスを感じている方は、乳酸菌飲料を習慣的に摂るようにしてみてはいかがでしょうか。

免疫力の向上

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インフルエンザが流行する季節になると乳酸菌飲料がよく売れると言われています。多くの乳酸菌飲料には免疫力を高めることで、風邪やインフルエンザの予防やアレルギー症状を緩和する効果を謳っています。
これは私たちの腸には体全体の約7割の免疫細胞が集中しているため、腸内環境を整えることで免疫力を高めることに繋がるからです。腸は「第二の脳」と呼ばれるほど重要な器官で、腸を健康に保つことはさまざまな病気の予防に繋がります。

乳酸菌は腸内で活動できる期間が短いため、大量にかつ習慣的に摂らないと十分な効果が期待できません。続けやすく一度に大量の乳酸菌を手軽に摂れる乳酸菌飲料は、免疫力の向上によって風邪やインフルエンザを予防する効果が得られやすいと言えます。

乳酸菌飲料に使われている乳酸菌の種類

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・シロタ株
正式名称はラクトバチルス・カゼイ・シロタ株、後のヤクルト創始者である代田稔博士が1930年に強化培養に成功した乳酸菌です。
動物性乳酸菌の中でも強い生命力を備えたシロタ株は生きて腸まで届くプロバイオディクスの乳酸菌です。腸内の善玉菌を3倍に増やし、悪玉菌を1/5に減らす効果が認められています。

・L-92株
正式名称はラクトバチルス・アシドフィルス・L-92株、カルピスが保有する多くの乳酸菌の中から、アレルギー症状を引き起こすIgE抗体を抑制する作用を持つ菌として選び出されました。
腸内の免疫細胞に働きかけて免疫バランスを整えることで、花粉症や通年性アレルギー性鼻炎の症状を緩和する効果、インフルエンザの感染予防効果が認められています。

・CP1563株
正式名称はラクトバチルス・アミロボラスCP1563株、アサヒグループが保有する膨大なライブラリーの中から、脂肪燃焼を促す体質物質PPARαを活性化する作用の高い菌を選び出しました。
菌の成分を小腸で効率よく吸収させるために乳酸菌を丸ごと粉砕しているのが特徴で、殺菌されていますが効果に影響はありません。CP1563株は脂肪燃焼を促進する核内受容体PPARαを活性化することで脂肪の燃焼が促進され、体脂肪が軽減する効果があることが認められています。

・NY1301株
正式名称はラクトバチルス・カゼイ・NY1301株、胃酸や胆汁酸に強い耐性を持ち、高い確率で生きて腸まで届くプロバイオティクスの乳酸菌です。
NY1301株は腸内でウェルシュ菌などの有害菌を減少させる働きをし、ビフィズス菌などの善玉菌の増殖を促してくれます。

・ブレーベ・ヤクルト株
ヤクルトが独自に保有するビフィズス菌で、乳幼児の大腸に多く住んでいる善玉菌として知られています。生きて大腸まで届くとされ、腸内環境を弱酸性に保つことで善玉菌の増殖を促し、悪玉菌を抑制する高い整腸作用が期待されています。
ほかにも美肌効果や潰瘍性大腸炎の症状を抑制する効果が認められています。

・B.ビフィダム Y株
ヤクルトが保有するビフィズス菌で、ストレスやピロリ菌と戦う現代人を応援する目的で、胃の粘膜に吸着しやすい菌として選び出されました。
一般的なビフィズス菌は嫌気性のため酸素がある環境では活動することができませんが、B.ビフィダム Y株は酸素がある環境でも耐えられるように強化培養されたビフィズス菌です。
このためほとんどのビフィズス菌が酸素の薄い大腸に生息するのに対して、B.ビフィダム Y株は酸素の多い胃の中で活動することができます。

・ラブレ菌
岸田綱太郎博士が1993年に京都の伝統的な漬物「すぐき漬け」から発見した植物性乳酸菌です。酸に強い性質を持つ植物性乳酸菌の中でもトップクラスの腸内生残率を誇り、生きて腸に届くだけでなく長く定着することができます。
ラブレ菌は粘り気のある多糖のEPSと呼ばれる成分を産生するのが特徴で、この成分に守られているため消化液に対して強い耐性があると考えられています。
高い整腸作用のほか、感染症やガンを攻撃する働きを持つNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させるインターフェロンを生み出す力が強く、免疫力を高める作用が認められています。

糖質の摂りすぎに注意

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手軽にたくさんの乳酸菌が摂れることがメリットである乳酸菌飲料ですが注意点もあります。

多くの商品ではさまざまな種類の甘味料が使われていて、糖質を多く含んでいます。乳酸菌をたくさん摂ろうとするあまり、糖質を摂りすぎてしまうリスクがあるのです。

乳酸菌飲料の原材料表示を確認してみましょう。
ブドウ糖果糖液糖、砂糖、スクラロース、アセスルファムK、アスパルテームといった甘味料が使われています。せっかく乳酸菌飲料で腸内環境を改善しても、糖質の摂りすぎは肥満に繋がり糖尿病の原因ともなるため健康に悪影響です。

健康増進を目的に乳酸菌飲料を毎日摂りたいとお考えの方は、含まれる糖質にも気を配りましょう。甘い飲料を好んで飲む習慣のある方は無意識のうちに糖質を摂りすぎてしまいがちです。人工甘味料は糖質の摂取を抑えられるのがメリットですが、依存性や健康への有害性が指摘されているものもあり注意が必要です。

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